2022.3.13
秀吉の愛した茶の湯は大名たちの社交場
安土桃山の時代、茶会は大名たちの社交の場でした。正式な茶事は数時間以上かけてゆっくり行うもの。親しくなりたい者同士が少人数で集まって長時間ともに過ごし、お互いの人格や知識教養を知り、理解を深めていくのです。今で言うゴルフ交流のようなものかもしれませんね。
茶の湯の大成者といえば千利休ですが、残念なことに、朝鮮出兵の前に秀吉は利休と仲たがいし、自害させています。しかし、利休のわび茶をもっとも理解していたのも、社交に最大限に活用したのも、秀吉でした。
天下人も庶民も茶室の中では平等です
「茶の湯を楽しんでみたい」という一般庶民も自由に参加できるように、京で北野大茶会を催したのも秀吉です。茶室の狭い空間では、天下人も庶民も身分の分け隔てなく隣り合って座ります。この茶室の中の平等こそ、多くの人々が茶の湯に魅せられた理由でしょう。
3月27日に行われる「名護屋城大茶会」は、天下人の気宇壮大さを知り、歴史ロマンに思いをはせる絶好の機会となるでしょう。豪華絢爛たる黄金の茶室と、わび、さびの極致であるシンプルな草庵茶室が同時に再現されるのも楽しみです。このワクワク感も、はじまりの名護屋城。
佐賀新聞社社長
中尾清一郎
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